訃音あり寒月はまだ透きとおる
敲き土掃けば幸徳秋水忌
漂泊のモナドにしんと雪雑り
涸れ川を歩く心地でものを言う
風花の向こうに赤児だけがいる
冬至梅ほころべば耳鳴が止み
小石蹴る音にまたたく冬銀河
ふるふると舞う黄葉を縫う酔歩
散る朴を踏む幼子の紅い耳
苦そうな古い墓石に老いた蝶
仏語の発音に慣れて黄落期
鼻痛むほど澄めば末枯の原
秋暮れて咖哩の匂いする戸口
つるつるの秋旻にヒビ入れる星
秋旻に紅引くような星滑る
秋の霜つんと灯油の匂いして
あきらかにお腹空かした小鳥来る
椋の実のへこみに祖父が懐かしく
マフラーは変な匂いで冬隣
吹かれたく親指立てる雪迎え
秋しぐれ家路急ぐ子ただ駆けて
秋夜侘ぶ一輪挿しのように星
そっと捥ぎれば食べ易い鰯雲
裂くような子の笑声に秋気濃く
人の居ぬ地に風食みの糸芒
何思い少女は死人花を踏む
碇星あり亡祖父の声を聞く
金琵琶を煩く感ずる日があって
花煙草見るだけならと水をやり
実椿の硬さ遺髪の柔らかさ
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